インボイス制度「2割特例」の終了とその影響

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著者:吉原邦彦税理士事務所
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MC:

今回は今年9月のインボイス2割特例の終了とその影響について吉原先生にお伺いしていきます。

会社によっては消費税の納税額が倍以上になるかもしれないということで無視できない出来事かなと思っております。法人ができる対応策なども解説いただきます。




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インボイス制度について

MC:

早速ですが、理解できていない方も多いかと思いますのでインボイス制度について教えていただいてもよろしいでしょうか?


吉原先生:

2023年の10月からインボイス制度というのが始まっております。

もともと消費税は2年前の課税売上が1,000万を超えている場合は消費税課税事業者という扱いになって、売上先から消費税をもらい、また仕入れ先に対しては消費税を払うという行為が必要でそれぞれを計算して申告しければいけません。

逆に2年前の課税売上が1,000万円以下の場合は消費税免税事業者という形になります。 売上800万円に対して経費が220万円という非常に粗利の高いところが売上に対する経費として外注さんを頼んだとします。

外注さんがもともと消費税を払ってない免税事業者だった場合に請求書上では220万円という消費税が入った形できますけども実際にこの20万円を下請けさんは払ってない可能性が十分にあります。そこで益税が出てしまいます。

インボイス制度を入れることによって、この下請けさんが消費税の課税事業者なのか免税事業者なのかというのをはっきりさせるということ、この益税をなくすというのが元々の趣旨で、その見直しとして今年の9月30日までは免税事業者がインボイスの手を挙げた場合、売上げの消費税の2割を納めればいいという取り扱いが2割特例というものです。


MC:

今までだと預かった消費税から支払った消費税を引いたものを納めなきゃいけなかったけれども、2割特例というのを使うと「預かった消費税×2割」だけ納めるというこの特例が今年の9月で終わってしまうということですね。

2割特例ができた背景

MC:

この2割特例が設けられた背景はどういったところでしょうか?


吉原先生:

詳しくは知らないんですが、多分簡易にインボイス制度を導入するための手段ではないかなと思います。

細かい計算をしなくても少しでも消費税を安くすることによって感情的な話も緩やかにするためにやったのではないかなという憶測です。

消費税の場合、導入しやすいようにいろんなことを考えてやっている感じはします。


MC:

インボイスが導入された時に少し問題になってたのが免税事業者から課税事業者にならないと発注者側としては差し引けなくなるから発注しないリスクがあるみたいなことで慌てて課税事業者になる方が結構多かったという話もあったと思うんですが...


吉原先生:

一番分かりやすいのはスナックとか居酒屋さんとか飲食業の方がインボイスの登録しないで領収書を出した場合、大手の会社の場合はそれが経費にならず交際費として使えないんだという話があって、そうするとこの店使うなというようなお触れが出たようです。そういうのは実際には登録しなくてもしても影響ないようなことは考えています。今年の10月以降また変わりますけどね。

個人と法人の処遇の違い

MC:

2割特例が今年の9月で終了するということなんですけれども、今後個人事業主と法人で処遇というのが大きく分かれるんでしょうか?


吉原先生:

法人は9月30日まで2割特例が使えます。

個人については同じように9月末までは使えるんですけれども、10月1日からは3割特例という形になりますので若干納付額が増えてしまうかもしれませんけれどもまだまだ緩和されている状況です。

3割特例と実際の差し引きの計算とまた簡易課税という業種によって仕入税額率が決まっているところと比較して一番安いものを取れるという形になります。

2割特例と8割控除の違い

MC:

ではこの2割特例というものとよく混同されがちだと思うんですけれども、8割控除というのもあると思うんですが、この制度と2割特例ってどう違うんですか?


吉原先生:

2割特例というのはもともと免税事業者の人がインボイスの手を挙げた時です。

先ほども話に出ておりました飲食店などでインボイスのない免税事業者の領収書をもらった場合に、売上先の会社の方が消費税の計算において本来は認められないんですけども消費税入ってないですから消費税抜かないで計算するんですけども、8割までは認めましょうというのが8割特例です。


MC:

2割特例が売り手側の制度で、8割控除は買い手側の制度ですね。


吉原先生:

逆に言うとインボイス登録しなくても、登録すると元々の免税事業者は消費税を納めなきゃいけないわけですよね。

元々免税事業者のままの領収書を出してもそれを使っている元の会社の方は8割認めてもらえるのであまり変わらないというか大きな違いはないかなという気がします。


MC:

8割控除というのがなかったらその分もちろん全部納めなきゃいけないけれども、買い手の人はその8割は控除できるということですね。この8割控除というのも今年の9月末で終わるんですよね?


吉原先生:

それから段階的にさらに7割・5割という風に減ってきますけども、まだ7割っていうのが残りますね。それが2年間ですね。その後5割が2年間、最終的には30%っていうのが1年間というのが今回の改正で決められたところでございます。


MC:

こちらも段階的に控除割合が減っていって2031年にゼロになるということですね。

2割特例終了への対策

MC:

では最後に2割特例の終了によって損しないための何か対策などはありますでしょうか?


吉原先生:

基本的に損するわけではないのでそこは勘違いしないでいただきたいんですが、負担が増えない一つの手としては簡易課税制度の検討が必要かと思います。

実際にやられている事業がどのような事業であって、それぞれのその事業に応じた仕入額控除の額がいくらになるかというのを考えながらシミュレーションをしたところで決めなきゃいけないんですけども、簡易課税制度も本来的には開始となる事業年度の最初の日まで出さないといけません。

さらには2年間縛られるなどいろんな制限が入っているんですが、簡易課税でやると基本的には消費税が還付されることはありません。原則課税でやった場合、設備投資を多くやった場合などには消費税が還付になる場合が出てきます。

その時の動きによって判断したいんですけども先ほど言った2年間縛りとかいうのがあるので単純には言えないです。

通常の事業の内容としてどのくらいかというのが見えれば、どれがいいのか、一番安い方法がどれかっていうのはシミュレーション的に出ると思います。


MC:

先ほどの例でいくと、預かった消費税が73万円、支払った消費税が20万円の場合、73万-20=53万を納めなければいけない、

ただ2割特例が使えていたから預かったものに対しての2割(75万円×20%=15万円)、15万で済んでいた、

この15万の部分がなくなるから例えばサービス業とかだとみなし仕入れ率が50%だとするとその場合は73万×50%=36万5,000円で、その場合はサービス業の方だったらそっちの方が53万円よりは安くなるということですよね。


吉原先生:

この例の場合は粗利が非常に高いのでもっと経費はあると思いますけどね。


MC:

そこと比べるプラス先ほどおっしゃっていただいた2年間継続になったりとかそういったところを加味して簡易課税制度っていうのを検討するのも一つじゃないかというところですね。


吉原先生:

業種によって経費があまりない業種もありますから、その場合は簡易課税を取った方が有利だと思います。不動産業などあんまり経費がないのでその方がいいかなっていう場合もあります。住宅の場合は消費税はかかりませんけどそれ以外は駐車場とか消費税の負担が多くなってくるので。


MC:

そういったところもちょっとご自身だけでは判断がつきにくいかなと思いますのでぜひ吉原先生のような専門家の方にもご相談いただければと思います。

今回の2割特例の終了や8割控除の終了によって今までよりもさらに経理処理も大変になってくるかなと思いました。

吉原先生、ありがとうございました。


吉原先生:

ありがとうございました。




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